『邪魅の雫』読了。
ネタバレするかもしれないよ。
気をつけるべし。
眠くなったら寝るオレが、眠らずに読みきろうと努力する唯一の小説。
今回もまた、何度か寝落ちするほど夢中になった=非常に面白かった。
どうやってまとめるんだコレ? と思っているところに榎木津登場!
でも、あれ、いつもと違う?
そんなだけど、複雑に絡み合った事件はどんどん整理されていき…ついに京極堂登場。
あー、オレのも落ちた。憑物落ちた。
つーか読み進むうちに憑物をつけらてるんだよね。読者は。
で、京極堂が落とす。
なんか冷静に考えると詐欺にあってる感じだが、気持ちよくだまされているので満足。
やっぱ気持ちよくだましたいね。エンターテインメントにかかわる者としては。
で、自分がいろんな面でこのシリーズを楽しんでいることに気づいた。
まずはキャラものとして。
今回、木場修の出番が少ないので寂しいのですが…
特徴的なキャラがいるのは当然として、自分に似たタイプ、自分のあこがれるタイプ、そうなりたくは無いけど近くいたら楽しいだろうと感じるタイプなど、さまざまなキャラが登場。そしてシリーズが進むごとに、掘り下げられていく。
今回は意外な面が描かれ、非常に作者の思惑にはめられた気分。気持ちよくはめられた。こういう部分が見たかったんでしょ? って。
榎木津と益田の内面、関口と榎木津の関係などがそれ。
次にあまり触れたことない、この作風が好き。
まあたいした読書量もないオレにしてみれば、触れたことの無いものの方が多いんだけど。
これは奥さんとスカパーで『犬神家の一族』を観ながら話してたことなんだけど…
『横溝正史』って『人々』が主役な感じだよねぇ。因習とかが関係する人々が。
『江戸川乱歩』は『個人』が主役な感じで。
※ちなみにオレは、横溝正史は一冊も読んだことはなく、映画での印象をメインに、
江戸川乱歩は短編集↓を一冊読んだっきりで、語ってます。だから突っ込まれても何も言えません。
- 作者: 江戸川乱歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1960/12/27
- メディア: 文庫
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登場人物は皆事件を彩るだけで、実際の主役は『事件』だなって。事件の構造で魅せよう(面白くしよう)としているなって。
そこに惹かれる。憧れるッ!
そして、オレみたいな頭でっかちが時々思う哲学的な部分を、そんでもって雑学的な部分を、わかりやすく例をまじえて説明してくれる。自分ではわかっていても整理できていなかった部分を、きれいにして提示してくれる。
だから読み終えると賢くなった気分になる。
楽しくないわけがない。
やっぱ物語って、自分の知らない世界のほうが楽しいと思うのですよ。
昭和初期、終戦後、旧仮名遣い、民俗学などなど。つまり知らないこと満載で面白いです。
これらが絡み合っているんだもの、自分がはまるのも、なんら不思議なことじゃないですね。
不思議なことなど何もないですね。